戦争の神アレス 神々の中で最も美しい男神 |
The Head of Ares (or a youth)
アテネのギリシャ国立考古学博物館
Το Εθνικό Αρχαιολογικό Μουσείο της Ελλάδας στην Αθήνα
The National Archaeological Museum in Athens
戦争の神アレスの頭部彫刻がアテネ国立考古学博物館に展示されている。
ギリシャ神話の登場する男の神々の中で最も美しいゼウスの御子である。
この頭部彫刻はアテネのアクロポリス南斜面のエウメネス柱廊から発見されたものである。
ローマ時代に複製されたもので頭部のみ発見された。
この彫刻のオリジナルは紀元前4世紀に制作されてたものである。
彫刻家についてはアテネ考古学博物館の説明プレートにはコリントス出身のエウフラノル(エウフラノラス)が紀元前330年から紀元前310年頃の制作したと記述されていた。しかしこの説明プレートは間違いの可能性もあるので、ほかの情報としてパロス島出身のスコパスか、あるいはシキオン出身のリシッポスがあげられる。
このプレートには「このアレスのタイプはルドヴィジ・アレスという」と書かれているので、それならば彫刻家はスコパスかリシッポスであろう。まぁ紀元前4世紀の彫刻家と言えば、エウフラノル、スコパス、リシッポスがあげられるので、本当のところはわからないかもしれない。
紀元前4世紀からローマ時代まで、有名彫刻家の流れ組む人たちは、
同じ顔を継承してきたのかもしれない。
恐怖を呼ぶ戦争の神アレスが休息するときは愛を求める。
アフロディーテ―の恋人であり、子供たちにとってはよき父である。
ギリシャの神々の中で最も美しく長身である。
ローマ神話ではマルスと呼ばれ、軍神として尊敬される神となっている。
アフロディーテーの夫はへーバイトスという鍛冶の神というかメカニックの神様である。ほかの恋人にはヘルメスがいるが、ヘルメスは商業伝達の神なので、アフロディーテーには交渉術で迫ったのだった。ちなみにアポロンとは没交渉。
アテネ国立考古学博物館の説明プレートには下記のように記述されていた。
緑の文字のところはわたくしが付け加えた。
189.Κεφαλή νέου.Μάρμαρο πεντελικό.
Βρέθηκε στη Στοά του Ευμένους,στη νότια κλιτύ της Ακροπόλεως των
Αθηνών. Προέρχεται από άγαλμα του τύπου Άρης του Λουντοβίζι
Πρόκειται ρωμαϊκό αντίγραφο ενός αγάλματος Άρεως, φιλοτεχνημένου
ισως από τον Ευφράνορα γύρω στο 330-310 π.χ.
ή Σκόπα (395-350 π.χ.) ή Λύσιππο(370-300 π.χ.)
189. Head of a youth.Pentelic Marble.
Found in the Stoa od Eumenes on the south slope of the Athenian Acropolis.
From a statue of the Ares Ludovisi type. Roman copy of a statue of Ares
possbly made by Eyphranor about 330-310 BC
or Skopas (395-350 BC) or Lysippos(370-300 BC).
休息するアレスの像(アレス・ルドヴィジ)
Ο αναπαυόμενος Άρης (Άρης του Λουντοβίζι)
Ares in repose (Ares Ludovisi)
ローマ国立考古学博物館
Εθνικό Μουσείο της Ρώμης
National Roman Museum
この彫像はローマ時代に復元されたもので、ルドヴィジ・アレスと呼ばれるようになったのはルドヴィコ・ルドヴィジ(1595 –1632)というローマン・カトリックの枢機卿のコレクションだったからである。
アレス神はトロフィーの上に腰を下ろし休息をしている。足元にアフロディーテーとの間にできたエロス神がいる。
この彫像の高さは1.56メートルである。
アレスはギリシャ文字でΆρηςと書き、アリスと読む。
アレスは大神ゼウス、女王の女神ヘラの息子である。
もしもミケーネ人がギリシャを制覇していたならば、今頃は神々の頂点にヘラ女神が来て、ゼウスは息子になって、アレスはもっと優遇された立場になっていたのではないかな?と思ったりもする。神々の位置づけには古代の人々の栄枯盛衰を感じてしまう。
ギリシャン神々で最も美しい男神は誰か?
わたくしはアポロンとか゚ヘルメスかしら?と思ったのだが、神話によると美しく背の高いアレスだった。
お写真の腕前が素晴らしいので、アレス神がさらにイケメンに見えます!
さて、「背高く美しい」、それも神々の中で一番…と呼ばれるのがこの神ですが、彫像や銅像、絵画では必ずしも目立つほどに長身にはされていないように思います。ちょっとした謎です(笑)。
イケメンですが、戦争の神で、災いと争いをもたらすので、ギリシャの神々の中で嫌われていた面があります。
そこへ行くとローマ神話ではマルスと呼ばれ軍神としてきちんとした神としてまつられていたようです。