ディロス島のディオニュオス神殿或いはストイヴァディオンィオン
Ναός του Διονύσου ή Στοιβάδειον στην Δήλο
Temple of Donysos or Stoivadeion on Delosディロス島のディオニュソス神殿はスティヴァディオン或いはストイヴァデイオ(Σοιβάδειον/Soivadeion)と呼ばれていました。
この神殿は長方形のプラットフォームの形で、7.50メートルX 3.20メートルの広さで、その両脇の南と北に四角い柱の上にファルスが置かれています。ファルスというは巨大な陰茎のオブジェのことで、ディオニュオスのシンボルでもあります。
ディオニュソス神殿の両脇に立つ2本の四角柱の上にファルスのオブジェは紀元前300年にディロス人のカリスティオス(Καρύστιος /Carystios)という人物がいて、彼が仲間と後援した芝居が優勝したことを記念して、ディオニュソス神に奉納されたものです。ちなみにカリスティオスの父はアスヴィロス(Ασβήλος/Asvilos)といいます。
南の四角柱の上のファルスと長方形のプラットフォーム挟んで北の四角柱のファルスを撮影しました。南の四角柱の三面にはレリーフが施されています。
南の四角柱の何面のレリーフは中央にディオニュソス、脇にマイナス(バッカス=ディオニュオスの信女)とシレーノス或いはパンが描かれているようなのですが、2000年以上も風の中にあって、わたくしにははっきりわかりませんでした。南の四角柱の西面には首の長い雄鶏のようなレリーフが施されていました。柱の下のところには遺跡の大理石看板が置かれています。
南の四角柱の北面には三人の人の姿、おそらくディオニュソス神、その脇にマイナス(バッカス=ディオニュオスの信女)とシレーノス或いはパンが描かれていたようですが、南面のレリーフよりも劣化していました。
北の四角柱の上のファルス箱のような感じです。四角柱にはレリーフがまったく残っていませんでした。おそらく南の柱と同じようなレリーフだったようにわたくしは思います。
ディオニュソス神殿からキントス山を撮影しました。いやもう古代都市なので、すべての遺跡を見るのは一日では出来ません。ミコノス島からは毎日遺跡見学の船が出るようですが、ナクソス島からだと夏でも週2くらいですから、ディロス島に行くのはなかなか容易ではありません。歩くのは疲れます。この島にはホテルもないし、通いで見学するしかありません。暑いですわ。
ディオニュソス神殿の正面です。下の写真のような感じになります。この長方形のプラットフォーム或いは小さな舞台も上に彫像が3体飾られていました。中央はディオニュソス神、両脇にシレーノスに扮した役者像が2体。それらはディロス考古学博物館内に展示されています。
上の写真の長方形のプラットホームの上に中央にはディオニュソス神、両脇にシレーノスに扮した役者像が2体がありました。ディオニュソス神殿と道を挟んで、西にアンティゴノスのストア(柱廊)があり、大きな大理石の彫像がそのままそこに置かれています。
ディオニュソス神殿からの出土した彫像類
玉座にすわる裸のディオニュソス神の彫像 (A.04121) ヘレニズム時代の紀元前2世紀後半の作品 Άγαλμα του Γυμνού Διόνυσου καθισμένου σε θρόνοStatue of Nude Dionysos Seated on a Throne
ディオニュソス神の玉座の右横。玉座に豹の足のレリーフが施されています。
パポシレノス(老シレノス)に扮した役者の像(A.04122)ヘレニズム時代の紀元前2世紀後半の作品Άγαλμα του ηθοποιού με κοστούμι Παπασιληνου Statue of an Actor in the costume of Old Silenos パポシレノス(老シレノス)に扮した役者の像(A.04123)
ヘレニズム時代の紀元前2世紀後半の作品
Άγαλμα του ηθοποιού με κοστούμι Παποσιληνού
Actor in the costume of Old Silenos
パポシレノスはディオニュソス神を育てた養父で、いつもご機嫌さんの酔っ払いではありますが、たいへん賢く温かい心を持つ神でありました。シレーノスの中でパポシレノスというのはシレノスおじいちゃんという意味があります。ギリシャ語で「おじいちゃん」と孫が呼ぶときはパプーです。孫以外に人はそう呼んではいけません。みんな気持ちは若いのでおじいちゃんとかおばあちゃんと呼ばれるのは孫だけです。
ディオニュソス神がシレノスおじいちゃんと呼んでいた神は、酒をご馳走になると、酔いつぶれてしまいます。それでディオニュソス神はサテュロスにロバを引かせて、迎えにやりました。ディオニュソス神はおじいちゃん子なんですね。
ディオニュソスは神様ですが、苦労して育ちました。のちに酒、お芝居。お祭り、子孫繁栄などを司る神として古代の人々から信仰を集めるようになります。アポロンやアルテミスなどのほかの神は生まれてすぐ大人になりましたけど、、。
わたくしはギリシャ神話はアポロドーロスから以前のものを参考にしています。その後のは詩人や劇作家によって、いろいろ創作され、、まぁ面白いのですが、神を貶める話には、いくら面白くても賛同できません。多くの古代遺跡、神殿をめぐって、古代の人々の信仰心や思いをないがしろにするのは恐れ多いと思ってしまうようになりました。
ブログにお越しになった方へ
お手間をかけて申し訳ありませんが
投票よろしくお願いします。